2017年5月23日火曜日

こちら側の現実とあちら側の現実。



最近の楽しみのひとつ


「ねじまき鳥クロニクル」


以前は移動といえば車がほとんどだったので

落ち着いた時しか本なんて読めなかったけれど(それはそれで至福の時間なわけですが)

電車移動が多い今では、それが最高の読書空間になるわけです。


ゆらゆら揺られてお決まりの音楽をイヤホンで聴きながら。


土曜日なんて心斎橋のレッスン会場まで一時間ほどあるので

電車に乗り込んだ瞬間に心の中で



「よっしゃー!!!」

と叫んでいるわけです


満員電車でも

座れなくっても

スゴい匂いのする人がいても

全く問題ございません

僕はあちら側の世界へ行ってしまいますから。

そんなわけで

没頭しすぎて何度も乗り過ごしそうになりました。


先日はまたまた京都の市バスに乗りまして

その時も読んでいたのだけれど

まあ揺れるし暑いし(前回のバスは寒かったけど間はないのか、、、)

そして

その時読んでいたところが、なかなかグロい部分で(間宮中尉の回想ね)

めちゃくちゃ気分悪くなり

バスを降りてレッスンまで少し時間があったのでヨタヨタと近くの喫茶店へ

なかなかに洒落ていて

なかなかに薄暗く

なかなかに埃っぽく

それがまたあの井戸の中をよりリアリティーのあるものにするんです(あの外蒙古のね)

そして頼んだアイスコーヒーがまるで墨汁を飲んでるようなストロング。


余計に気分が悪くなり

頑張って飲もうとするけれど

僕の胃の入り口には機動隊が盾を持ってズラリと並び

断固としてこの先へは通しません

という状態に相成りました。


それで、申し訳ないけれどコーヒーはおおかた残して店を出たわけですが

最近では、それこそ歩いている時も二宮金次郎のように本を手放さず

すきあらば続きを読んでいるわけです。

そうすると

あちら側に行っている時間が断続的ではあるけれど多くなります。

それで、あちら側に行っている間の本来のこちら側の時間が

すっぽりと抜けている感覚によくなります。

気がつけば夕方で

またふと気づくと夜になっているわけです。

そして一日が異常に短くなった錯覚に陥るのです。

さらに、小説の中でもあちら側とこちら側の現実の話だったりして

もうそれはトコトン時間軸がズレてしまうというか、、、

ということで

移動中に本を読み続けると瞬間移動したようなを味わえます(笑)


そんな感じでちょっとふわふわした日常でしたが

昨日は第一回の動画撮影を行い、三曲撮りました。



日本を飛び出して昨年はサンフランシスコまで一緒に行ってライブしてきた

盟友かけちゃんとのデュオです。

まだこれから編集にかかるのでアップするのは少し先になりますが

とても楽しかった。


僕は最近少しずつ料理をするようになったのですが

かけちゃんも料理を始めたらしく

そんなわけで晩御飯は僕が作って一緒に食べて料理話に花が咲きます

この前はこんな料理を作ったとか、これが美味しかったとか

材料はなんだとか、レシピを見せ合い、写真を見せ合い、

料理初心者同士で傷を舐め合っているわけであります。

そうそう

さっきジムの帰りにコンビニ寄ったら美味しそうなジュースが売っていたので飲みながらこれを書いています。



メイドイン香港だって

あんまり見ないよね


それでは今日はこの辺で。










2017年5月16日火曜日

母の日と4番のバス。


よく晴れて蒸し暑いくらいの日だったけれど

それにしても寒いくらいに効きすぎるエアコンのバスに乗った


京都での出張レッスンの日

いつもは移動時間があまりないのでタクシーに乗るけれど

この日はお休みの生徒さんがあり多少の余裕ができた。


道中に楽譜を買いたかったこともあり、その楽器屋まで乗り換えなしで辿り着ける市バスを選んだのだが

それがたまたま一時間に一本だけの通常とは少し違う4番のバスだった。

少し遠回りというか、同じ4番でもルートが違っていて、このバスしか停まらないバス停があるのだ。

そんなわけでいざ乗ってみると途中で、え?市バスがこんな細い道に入っていくの?

というルートを進んでいった。


よく冷やされた僕は、腕をこすりながら窓から住宅街を眺めていて

ふと、ある生徒さんを思い出した。


一ヶ月に1度ほど、数ページにわたっての手紙をくれるその女性は

若い頃からプロのピアニストとして活躍されてきたが、今は70歳を越え

持病もあり少しずつ体の自由がきかなくなってきた。

そんな折に僕のウクレレ教室に来てくださっていたのだが

足が痛んで家から出るのも難しいということで

レッスンにも来れなくなってしまった。

それでもレッスンでお渡しした楽譜を毎日練習してくださっているそうで

手紙にはそんなウクレレへの思いや体が思うように動かないことへの辛さ、そして今までのピアニストとしのキャリアなどが

ギッシリとしたためられていた。

それこそ、文字と文字の間に思いがいっぱい詰まった手紙だった。


確か、住所はこの辺だったな

そう思い出した。

手紙は一方通行で僕からは何も返せていなかったけれど


そして随分と遅くなったけれど


今度、返事を書いてみようと思った。


さて


昨日は母の日


大したことは何もできないが

欲しがっていた目覚し時計を買った。

そして

もう一つ

最近のオカンは昼間に一人の時はパンを食べてるらしく

トースターがないので電子レンジで代用しているようだった。

そんなわけで

母の日第二弾はアラジンのオーブントースターを買った。

0.2秒で高温になり、トーストなら1分半で焼けてしまう


ということで

早速



外はカリカリ、中はフワフワ

嘘ではなかったです


明日は美味しい食パンでも買って帰ろう。


2017年5月9日火曜日

画法は寝て待て。



何事も体で覚える


ということで


とりあえずやってみて

それからあれこれ考えるタイプです。

以前はそうでもなかったけれど、いや、今でもそうかもしれないけれど

勢いが勝ってしまうことがあります。


純粋に、ただただ楽しいと思えること

無心になって時間が経つのを忘れてしまうこと


その一つが、今の僕にとっては

絵を描くことです。




部屋に飾る絵を描くためのまだ練習中ではありますが

描いては壁に当たり

描いては悩み

描いては打ちのめされますが

それでも

使ってこなかった脳のある部分をトレーニングしているような

それでいて子供の頃は当たり前だったことを思い出そうとしているような

何れにしてもなかなか上手くいかないですが、なぜか心地良くもあります

頭がスッキリするというか。


最近では、ネットで知った画家のBOB ROSSさんの動画をyoutubeで観るのが

寝る前の日課であります。

ボブ・ロス画法と言われる独特の画法なんですが、通常の油絵では

描いては乾かし、少しずつ色を重ねていきます。

そうしないと色が混じって大惨事になります(経験済、、、)

それが、彼の場合はwet on wetで乾かないうちにどんどん色を重ね

短時間で描きあげてしまうのです。

以前に日本でもNHK-BSで放送されていた「ボブロスの絵画教室(The Joy Of Painting)」ではたった30分の番組内で一枚の美しい絵を描きあげています。

あれを観たら誰でも絵が描けるんじゃないかと思わせてくれるとても面白い番組ですので

youtubeで是非ともチェックしてみてください。たくさんアップされていますよ。

それでね

自分も同じようにやってみるわけです。

そうしたらね



全くダメ(涙)


さらによくよく調べてみると

なんとボブさんは通常の油絵の具より油分の少ない絵の具を使われているそう。


先日画材屋さんに行ったら、そんなもの置いてなくて

ネットで調べたらボブロス画材マスターセットなるものがDVD付きで売られており


欲しくて欲しくてたまりません



今日この頃です。


それはさておき


ずっと探していて注文していたものが届きました。



尊敬する小林秀雄さんのゴッホの手紙

先日立ち寄った新潟の本屋さんでも聞いてみたら文庫版はすでに絶版だそうで

悲しみに包まれていたわけですがネットで見つけました。

がしかし

いわゆる古い文体でして

漢字も読めない感じの一行読むごとに息切れしていますが

少しずつ読んでいます。

なにせ

ゴッホの絵を理解するには

その人を理解するべし

ということらしいのです。

他の画家よりも圧倒的にたくさんの書簡が残っているそうで

そのほとんどが、弟や友人に宛てられたものです。

絵から全てを学べるタイプの画家ではないそうなんですね、、、


恐ろしく時間がかかりそうですが

別に急ぐわけでもありませんし

まだまだ先があり

いつまでも楽しませてくれるもの

そういうものが一つ増えたという喜びがあります。


さて

昨日5/7は恒例の発表会でした。

会場スタッフの皆さん、長丁場のステージで本当にご苦労をおかけしているバンドメンバーのおかげで無事に終えることができました。



僕は当日より準備期間が大変なわけですが

出演者の皆さんも一生懸命頑張って下さいました。

ステージでキラキラ輝いている姿を見ると

ああ、やって良かったな

そう思えます。

みなさん、本当にお疲れ様でした。


それからそれから

自宅でのレコーディングや撮影を今月から始めます。


レコーディングでお世話になったBOSCO STUDIOの森さんが遊びに来てくださり

マイキングやPCレコーディングのレクチャーをして下さいました。



それでは今日はこの辺で。


2017年5月2日火曜日



いやはや


4週にわたってやっと完結した萬代橋ブルースですが

そもそも

なぜ萬代橋ブルースだったかと言うと

一応、曲作りの旅だったわけで


それが北陸ともなると

自然に演歌の風が吹いてくるわけです。


それで、曲のタイトルは何が良いかとマスターと話していて

萬代橋ブルースなんてどう、となったわけです。


そうそう

なかなかゆっくり曲作りするような時間は取れなかった旅でしたが

それもまた想定内で

短期集中で曲は作ってきました。

実際作るとそれは全く演歌ではないけれど

いつか作品として発表したいですね。


旅をしたり、最近は発表会の準備など色々やることはありますが

やっとこさ

自宅レコーディングの環境が整ってきました。

これからどんどん録っていく予定です。

そして撮影の準備も着々と進んでいて、今月に二本は撮れそうです。


乞うご期待


さて

先日電車に乗ったら

めずらしく草津線の電車でして

しかも

こんな感じ




SHINOBI TRAIN


吊り下げ広告も忍者してましたとさ。




それでは今日はこの辺で。

2017年4月25日火曜日

萬代橋ブルース完結編



早朝の岩室温泉





ひとり


宿を出てまだ人の気配を感じない道



右手には松ヶ岳




さり気なくそっと毛布をかけられた様な、なんとも優しく包み込んでくれる安心感が舌の上でフワッと広がる新潟の地酒にやられて昨夜は早々に寝てしまった。


旅に出ると早起きになる


いつもそう。


そしてやっぱり空気がおいしいのです

キリッと

ヒヤッと

まだ誰も吸っていない一番風呂ならぬ一番空気


その中をランニングへ出かけた




リハビリセンターの角を曲がりしばらく走ると


一帯には畑が広がっていた





道端に目をやると、そこにはしっかり春が訪れている






小さい頃

血眼になって探した記憶がよみがえり

見つけた時にはやはり嬉しくなる


アスファルトの道より土の上を走る方が柔らかくて足への負担が少ないのかどうかはわからないが、なんとなく農道を走った。


土の匂いや感触を感じながら走っていると、過去へ向かって走っているようだ

山から吹き降りてくる風は妨げるものがなく僕のところまで山の匂いを運んでくる

ここにはなかったものが遠くからやってきて頬に触れると 

ますます自分の居場所がわからなくなる


そんな

なんとも不思議な感覚の中


気がつくと

少し背が伸びた気がする

そして足がついさっきより重いのだ


立ち止まってランニングシューズに目をやると


ベッタリと馬糞が、、、


シューズの裏に3センチほど


「うわ、、、」


なんとも言えない柔らかな違和感を感じながら

アスファルトの道に戻り

トントンしたり、道に擦り付けてみたがなかなか取れない

四苦八苦していると知らないうちに車が近づいていて轢かれそうになった。




なんとかやり過ごし

宿の近くまで戻って来た。




こういうなんでもない風景こそ

ちょっとした路地裏にこそ

そこに住む人たちの、ささやかだけど

かけがえのない日常の物語がいくつも見え隠れする気がする


大切に大切に

大切に育まれたいくつもの命


尊い時間の宝箱があちこちに眠っている。


そう感じる度に、僕は知らない街に来て本当に良かったと思うのだ。


宿に帰り、玄関横の水道ホースを勝手に使わせてもらいシューズを洗った



朝風呂に入ることも楽しみの一つ


濃厚な温泉ともなれば最高だ。


鼻の奥の馬糞の匂いも洗い流し

スッキリしたところで朝食である。  




今日もまた

いつの間にか起きていたマスター



嬉しそうに朝食の写真を撮っている図



ところで、宿の最も楽しみな食事は朝ご飯である。


朝食も階上の別室に用意されており、食事が済めば連絡してほしいと言われた


相変わらずマスターは

だらだらと話しながらゆっくり食べる

だらだら

だらだら

そうこうしているうちに僕は食べ終え、しばらく待ってはいたが


だらだら

だらだら




明日の朝まで続きそうな気がしたもので、先に部屋に戻ると言って食べかけのマスターを放って部屋に戻った。


そして

フロントへ電話をし

「食べ終えて部屋に戻りました」

と伝えた。


しばらくすると

足早に怒りながらマスターが帰ってきた。

「ひどいじゃないか、、、」


「まだ食べていたのに!」


マスターが言うには


朝食の残りを食べていると襖が盛大な音を立てて開けられた

それは女将さんなのだが

明らかに素の

完全に脱力した

ただただ手早く部屋の片付けに来た

ひとりの女性


もぬけの殻であろう部屋にはマスターがちょこんと座って食べ続けていた

お互いに意表を突かれて目を丸くして見つめ合う二人。



僕は涙を流して笑い転げたわけだが

マスターはその気まずさたるや、どれほど耐え難いものだったか

ということをワーワー言いながら説明する。


「もう!二度と来れないじゃないか!」


それが余計におかしくて

僕はやはり笑い転げていた。


その後


チェックアウトの時間になり、車が見えなくなるまで手を振ってくれているのをサイドミラーでチラチラ見ていると、ああまたいつか泊まりたいな

そう思える最高の宿だった。



山沿いの道をしばらく走り

車は一路、弥彦神社へ







珈琲が飲みたいね、と立ち寄った謎のこけし茶屋



そしてこの旅の最終目的地の珈琲屋へ




カウンターの奥の大きな黒い焙煎機に目を見張った。


何種類かのコーヒーをフレンチプレスでいただいた後






雑誌の写真風撮影会




そんなこんなで


あっという間の二泊三日のおっさん二人旅。


その夜はクルーズへ戻り一泊

旅のフィナーレを飾る宴




お揃いのカーブドッジのTシャツ



翌日は京都でライブだったので早朝に帰ることに


マスターが羽咋駅まで送ってくれた。


朝早かったのでクルーズで朝食は取れなかったのだが

マスターの奥さん、いっちゃんがおむすびを持たせてくれた




山下清画伯の放浪の旅に憧れますと僕が言うから、全国各地でおむすびを作ってくれる人がいる

なんて幸せなことなんだろう。


マスター

今度は船旅かね

荷物はなるべく少なくね


弥彦神社の前で飲んだ甘酒の味

あれは一生ものだね

大切にしたまえな


僕は残念ながらもう忘れてしまったよ



でも


人生に「また」はあるからね


次の旅の計画を立てよう


どうせ何も決まりやしないろうけど。



2017年4月18日火曜日

萬代橋ブルース後編の後編



なぜか

クラゲが水槽に漂う老舗の喫茶店を出て

古町の商店街を散策していると細い路地の奥に面白そうなお店を発見


またしても喫茶店



なんとも味のある

ママさん


と僕。

おすすめのハウスブレンドを飲んだら

さらに散策


古い商店街の古い文房具屋に入り

隣の古い本屋に入り

探していた本はここにもなく


夜になれば華やかな繁華街の本気を出すのであろうこの古町商店街であるが

昼間は老婆が押し車をおしながらトボトボとひとりで歩いていたり、シャッターが閉まってたたんでしまった店も多いようで、なんとも閑散としている。



マスターと二人

こちらもお婆さんにならってトボトボと商店街を抜け

ふと右手に目をやると


日本庭園を眺めながら贅を尽くした日本食が食べられるという

大きな門からお屋敷までが遠く、まるで寺か?というような料理屋を見つけ



そこには入らず


向かいの安そうな蕎麦屋に入った


僕たちは最初から蕎麦が食べたかったと


マスターはざるそばを注文し

僕が季節の天ぷら付きせいろをたのむと


先輩より高いものたのみやがって、とブツブツ言う


小さい先輩


それはつまり


年上の後輩


それはつまり

非常に世話が焼ける


実は有名店だった蕎麦屋で美味しく昼ご飯をいただいた後は

駐車場へ戻り

さあこれからどうするか

という

無計画な計画。


新潟に面白いワイナリーがある

旅に出る前からマスターが言っていたので

そのカーブドッジへ

一時間で到着

広い敷地内には雑貨屋や土産物屋、スパやホテルまである




マスターは何回か来たことがあるらしく

そのわりには結構迷いながら散策









ワインを買ったりしているうちにすっかり夕方になり


本日泊まる宿へ向かうことにする

これまた

ワイナリーへ向かう前の、先ほどの駐車場で携帯で調べた岩室温泉の小さな宿


小松屋へ





一日三組しか予約を取らないという老舗宿


よく当日に予約が取れたものだ




創業江戸末期の心のこもった丁寧な接客


僕は電話で予約を入れる時の

そのあたたかい対応に感動した


それで

実は宿にはいくつか候補があったのだけれど、迷わず小松屋に決めたのだ。

さて


中に入ってみると




これぞ日本


とても静かで

なんとも落ち着く




ライブラリーにビートルズのレコードを見つけてはしゃぐ後輩はステレオの使い方を教えてもらっていた




部屋に案内してもらい


ひとまずお茶で乾杯




そして

夕食までの間

岩室温泉屈指の源泉掛け流しの貸切風呂にゆっくり浸かる

温泉は泉質も素晴らしく濃い。

鉄分が多いため黒い湯で、足の裏が黒くなる

風呂に入ったのに炭で汚れているような。

シャワーで洗い流した後


部屋に戻り


お待ちかねの夕食はまた別の個室に用意されていた



嬉しそうな後輩



新潟の美味いお酒にやられて写真を撮り損ねてしまったが、本当に美味しい料理だった

こんこんと

話し続け

食べ続け

夜は更けてゆく





はぁ

また長くなってしまったので

まだ少し先はあるのだけれど

それはまた次のお話


次回こそ最終章。