2016年7月5日火曜日

扇風機


スポーツジムに通い始めて1年

聞いた話ではジムは2種類あって、プール付きのジムは会費が高いらしい

僕の通っているジムにはプールが無い

しかし大浴場にサウナ付きで、風呂好きの僕にはトレーニングもできて一石二鳥である

お陰で近所のスーパー銭湯に行く機会が著しく減った(昨日行ったけど)

各種トレーニングマシンと前面がガラスで外が眺められる開放的なエリアにはテレビ付きのランニングマシンがズラリと並べられている

そしてヨガやダンス、ボクササイズから腹筋強化に特化したスタジオプログラム。


そもそもジムに行き始めたキッカケは

痩せたいから。



痩せたいのーーーーーっ!


と昨年の春に思い立って入会した。

しかしいざ始めてみると、体重は少しずつしか変わらなかったけれど、トレーニングすることで体力がついていった

大阪までの満員電車でも立ちっぱなしで全く問題ない

階段も余裕

つまり疲れにくくなったのだ

そうなってくると集中力も上がってくる

冴えわたる

体調は、きっと心にも影響する

身をもって実感しています

そうやって背筋が伸びてくると気持ちも軽くなる

調子に乗って最近はプロテインも飲んでいる

ジムに来ている人たちが特別なシェイカーに入れて飲んでいるのがカッコよかったのだ

何でもカタチから入る

早速スポーツ用品店でシェイカーとプロテインを買ってきた

プロテインといっても大豆プロテインで体を引き締めたりダイエットに効果的なのだ

そうやって1年ちょこちょこと通っているが


わりと常連さんの顔とか覚えてきて、ああ、この人今日も来ているな

とか

昼にしか来ないおじさん

いつも変なTシャツを着ている兄ちゃん

トレーナーとして別の会員のトレーニングに付き合うような人

僕と全く同じトレーニングウエアの人

ひたすらランニングマシンで走り続ける人

ひたすら話しているおばちゃんグループ

若い女性会員を口説くスタッフ


みんな仲良し

ロッカールームでも

「お、早いねえ、今日はもう終わり?」

「お先に!」

「最近見なかったけどどうしてたの?」

「盆休みはどっか行くの?」

というような会話が溢れているわけだが

僕は1年通って





友だちがいない

ひとりもいない




寂しい



ある日

僕より遅く入会した人が常連さんグループに見事にとけ込んでいて

まあまあ切なくなった


ジムは鍛えるところなのです


無言で励めよ


和気あいあいとしやがって




寂しい


しかし、いつの日か


「今日もお一人ですね」
「よく来られてますね」



国民的美少女が話しかけてくれるはず


ジムを見渡すと、いつもひとりの僕みたいなやさぐれマンがチラホラいる

きっと全員

国民的美少女を待っている


しかしながら、ジムでもいろんな人がいて面白い

当たり前だけど、ジムに行かないと遭遇することがなかった人たち

小さい鏡であっても通り過ぎる時にチラッとさりげなく自分の体を目視する人たち

僕が家で猫背になってギターを弾いていた夜も

ライブで演奏した夜も

ツアーに出ていた間も

カフェで本を読んでた時も

毎日ジムには大勢が集まって、トレーニングしていた



入ってみないとわからない世界があります

なんというか

ある日隠し扉を見つけて入ってみたら

そこは見たこともない街で

全く知らない人たちが僕の目の前を行き来し路地裏に消えていくような。


ロッカールームには縦長のロッカーが上下に2段、ロッカールームの奥までびっしりで

リストバンドになる鍵がついている

遅い時間で空いていれば、ほとんどのロッカーには鍵がついているのだが

そんな時でもわざわざ隣のロッカーを使ってくる人がいる

それならまだいいとして

今日トレーニングを終えてロッカールームに戻ってくると

わざわざ下の段のロッカーを使われていた

僕がトレーニングに来た後からきた人だろう


なぜ

なぜ、いっぱい空いてるのにそんなややこしいところを

と思ってウエアを脱いでいたら

ほらー

鉢合わせしてるやんー

ややこしいことなってるやんー

あ、すいません、あ、すいません、

てなるやんー

さて

風呂上がりの脱衣所にはシャンプーやタオルといったお風呂セットを置く棚が、小学校の下駄箱風に沢山あってそこでひとしきり乾かすのだが

扇風機がある


一台


サウナからの湯船にも長めに入っているので

この扇風機は最高に涼しい

扇風機の前のエリアは、無言で取り合いになる

エリアといっても、扇風機の前の、ほぼひとり分の直線

その線上に3人くらい列になる事がある

僕もその列に入った事があるが


なま温かい風がくる


それがわかっているので僕は扇風機の近くの棚にお風呂セットを置いて、上がってきたら自然に扇風機の前に立ち、乾かしながら、あー涼しい、あー涼しい、となる段取りをしているのだ

がしかし、扇風機の首をガリガリと動かして自分の方へ向ける人がいる…!


ひどい


せめて首回して…



まあ、ジムではそんなレベルの低い闘いを続けているわけですが


いつか

「え?!ジム行ってるんですか?(それで?!)」

と言われないようにしたい

僕のお腹


そして

いつでもおいでよ


国民的美少女


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