2018年5月15日火曜日

例えばその先に。



連休明けの火曜日


5月8日はオトンの命日です。


23回忌ということでしたが


僕は仕事で、、、(笑)


日が近づいて来ても何とも思わない


というか


すっかり忘れてるのですが、、、


連休明けの気だるい感じはずっと変わらずで


なんというか


20年以上の月日が流れているのに


その時の感覚がふんわり蘇ってきます。


気温や湿度

窓の外から聞こえてくる鳥の声



急に冬に戻ったように冷え込んだりして

三歩進んで二歩さがるような落ち着かない気候が

いよいよ春らしくなる。



春本番

というのか知らないけれど

なんともいえないこのマッタリした感じ。


完全に無防備だった僕は、あの時も学校から帰ってきて

友達と家でゴロゴロしていた


同居していたばあちゃんがバタバタと二階へ上がってきて


「タクシー呼んだから、病院行くで」


と慌てた声で言った。


タクシーに乗ったことなんて殆どない


ましてや家からなんてまずあり得なかった。


だから


子供心に、あぁこれは相当ヤバイことになっている





なぜか歯を食いしばったのを覚えている。


病院に着くとばあちゃんは

「はよ行き!あんたははよ行き!」





エレベーターを待たずに階段を駆け上がった



でも

でも


もうこの時点で、僕としては相当怖いものが待ち受けていると確信してるし


そんな怖いものに急いで飛び込んでいくなんておかしくないか?





頭と体が訳の分からない状況になり


そして震えながら


階段の途中で走るのをやめて歩き出したのを憶えている。


すると後から上がってくるばあちゃんが

「はよ!」


と急かしてくる。


でも怖かったんだよ


悲しいとか


そんなのより


怖かったんだよ。


待ち受けるものが自分にとって恐怖なら


例えばその先に爆弾が仕掛けられているなら

例えばその先に怪物が待ち構えているなら

例えばその先に敵の戦車がこちらを狙っているなら

例えばその先が崩れ落ちそうな吊り橋だったら



怖くて仕方ない。


近づきたくない。


逃げたい。



そういうものではないのか?


自分の死もまた恐怖であるならば


それに向かって急いでいくのはおかしくないか?



そしてとうとう病室の前までたどり着いてしまったが


僕はすぐにドアを開けられなかった


ドアに耳を当てて中の様子をうかがった



オカンの泣き声が聞こえた


僕は何故か


思いっきりお腹に力を入れて病室に入った。



あれから随分経つのにね。


今日は動画の編集をしてたからヘロヘロなもので

そのリンクを貼ってサクッとこのブログの更新を終わらせるつもりが

いつものように思いつきで書き始めたら


僕はあの時から変わらず持ち続けているものがあるんだなと

自分でもビックリしています。


やっぱり悲しいとか、苦しいとか

立ち上がれないような悲痛なものでは全くないのだけれど


いや、本当はそうで自分で分かってないだけかもしれないけれど


少なくとも


今の僕はこう思います。


ああ、また誰かと出会うための特別な「鍵」を手に入れたんだと。


手に入れたというよりかは


ずっと持ち続けていたものだけど


そのいつまでも錆びることなく傷ひとつない

昔のまんまの冷たい感触の鍵を



「あなたも持っているんですね」


「僕も持ってるんですよ」


その繋がりから何かが変わるかもしれない

僕も、出会ったその人も。


だから旅に出たいんですよ。



今の僕はなにも怖くないんです



例えばその先に何があろうとも。

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